いつまでにお墓を建てればよいか?


実際には一周忌までが多い

 お墓購入の時期はいつごろがよいのでしょうか? お墓を取得するのは、生前墓(寿陵)を建てる場合を除いては、ほとんどが家族の死に直面してからではないでしょうか。あわただしい葬儀が終わって、従来の生活のペースを取リ戻したとき、お墓をどうするかということが問題になリます。

 仏式では納骨は忌明けにすることが多いようです。忌明けは一般的には四十九日ですが、二十五日の場合もあリます。

 神式では五十日祭などに納骨をし、キリスト教式では月の命日や一年目の命日などに納骨することが多いようです。

 納骨に間に合うようにお墓を建てるのが普通です。一般的に多いのは、百ケ日や一周忌に納骨し、それに合わせてお墓を建てるというものです。家族の死に直面して、それからお墓を探し、実際にお墓を建てるということになると、一般的にはそれぐらいの日数は最低限必要になります。

 しかし、あるデータでは葬式以降一週間以内に墓地購入手続きをされた方は20%もありました。つまり葬式に続いて墓地購入も大きな仕事と捉えておられる方が多いようです。

 

墓石はすぐに建てなくてもよい

 墓石はすぐに建てなければならないというものではありません。
ただし、公営墓地では、一~三年以内などの一定期間内に遺骨を埋蔵しなければならないと決められている事があるので、埋蔵のためのカロート(地下納骨施設)だけは造る必要があります。

  しかし、カロートだけを造って遺骨を埋蔵しても、後で墓石を建造するのであれば、出来れば一緒にしたいものです。手間がかからない分だけ安くできます。

 

すぐに建てられないとき

 新仏がでてお骨があるのに、経済的にすぐには墓石を建てることができないこともあります。そういうときは無理をせず、建てられるようになってからでもよいのです。

 故人を偲ぶ気持ちにお墓は関係ありません。段階的に建てる方法もありますが、その場合余計な経費が必要となる事もあります。

 

できれば三回忌までに

 無理をせずに建てればよいとはいっても、忌明け(四十九日または三十五日)が過ぎたらでぎるだけ早く、遅くても三回忌までにはお墓を建てたいものです。

 一周忌まで、あるいは三回忌までにはお墓を建てることができる、という場合には、遺骨は家で安置する事になります。最近の住宅事情からすれば、仏壇がない家庭が多い事もあって、遺骨を自宅で安置する場合は苦労することが多いようです。

 できれば、納骨堂などの一時収蔵施設に預けます。

 

生前に自分のお墓を建てる

 「寿陵」とは生前、つまり生きているうちに本人自らがお墓を建てることを言います。「長寿を願うめでたいお墓」であり、縁起がよいと人気があります。 

 

 1.メリット

 税金という角度から見た場合、寿陵は相続税の節税になることはご存知でしたか? お墓は相続税の対象にならないのです。ですから親が寿陵を作っておけば、いざ相続のときにこれを除外することが出来るのです。
 逆に寿陵が無い場合、相続人である子は・新たにお墓を作る必要が出てきます。その資金は相続財産から控除されません。

 

 2.人気

 現在では、場所によって寿陵の占める割合が70%以上の墓地もあるそうです。
 寿陵が増えているのは、日本が世界一の長寿国になったことにも関係があると思われます。
 かつての日本人は生きることに精一杯で、自分の死後を考える余裕などなかったわけです。寿陵の増加は、人々が来世を考えるゆとりを持ち始めたということで、豊かな文化のバロメーターでもあります。
 公営の一部の墓地では、合祀墓や納骨堂以外は生前の取得ができませんが、民営の公園墓地や寺院墓地では、生前に自分の墓地を取得しお墓を建てることができます。その場合には、使用契約に墓石などの制限がなければ使用者の自由が利きます。 
 ただし、墓石の形や大きさについて、多少の制限があることも多いようです。

 

お墓を建てる手順は?


境内墓地では寺院に相談

 境内墓地の場合は、お墓の開眼法要や納骨の儀式などをその寺院に依頼することになります。
 そのため、お墓を建てることや時期、お墓の形態などについて、事前に相談する必要があります。墓石に対する寺院側の宗教的なアドバイスも、有効に活用したいものです。
 公園墓地では担当窓口に相談して下さい。

 

予算を決める(公園墓地の場合)

 墓地にどれだけの費用をかけられるのかを、考えておきましょう。永代使用料・墓石・工事費・管理料・付属品などが総合計額になりますが、お墓の開眼法要が別途必要なことも考慮しておきましょう。
 墓石の大きさや石の種類などは、予算によって決まってきます。自分の持っている墓石へのイメージを具体的な形にします。基本的には角柱型の和風墓、横幅が広く薄い洋風墓があり、このほかに自由でオリジナルなものがあります。
 公園墓地にサンプルがあれば、参考にすればいいわけです。お墓の敷地が広い場合には、墓石だけでなく、墓誌や灯籠などの付属品を設置することもできます。
 いずれにしても良いお墓とは金額で決まるのではなく、故人や先祖を大事に思う心です。

 

石は自分の目で見て

 どんな石を選んだらよいかは、素人にはなかなかわかりません。いちばんよいのは、実際の見本墓石を見ることです。
 写真や石材のカットサンプルなどではわからないさまざまなことが見えてくるでしょう。石材業者が決まっているならその業者が施工したお墓を見せてもらうとよいでしょう。

 加工・施工技術は業者によって様々です。最近では日本産や外国産など墓石に相応しい石がたくさん用意され、選べる余地が増えました。
 和風墓では落ち着いた色合いの石が多く用いられていますが、洋風墓ではかなり多くの色合いの石が設置されています。
 しっかしとした石材業者は日本産から外国産まで幅広く取扱いをしています。また、最近では免震施工等の地震対策を行っている業者もいます。
 色々と見学されて、ゆっくり検討するのがよいでしょう。業者が決められている場合は、最終的には業者が扱える範囲内で建てることも、考慮する必要があります。 

 

業者と具体的に打ち合わせ

 大体の内容・予算が決まったら、業者と具体的な打ち合わせに入ります。まず予算が決まれば大まかな内容は決まります。
 決定した墓地において予算を当てはめれば、聖地の大きさや石の種類が決まります。予算内で聖地の大きさを優先するか、石の種類を優先するかは自由です。
 墓所と石が決まれば、次のようなことを打ち合わせます。 

 

1完成予定日

 春秋の彼岸や一周忌などの開眼法要、および納骨式の日が決まっていれば、そこから逆算して発注しなければなりません。
 予定がなければいつでもいいのでしょうが、注文から建墓までに最低でも一ケ月~一ケ月半は見ておく必要があります。できれば二~三ケ月の余裕が欲しいものです。

 

2墓石に刻む文字

 墓石にどんな文字を刻むかは、宗派によって違います。戒名や宗派の名号・題目・家名・家紋などさまざまです。
 しかし、最近の洋風墓は従来の題目にこだわらない傾向があります。故人の座右の銘であったり、遺族からのメッセージであったりと、洋風墓の方が自由に作ことができます。又、実際どの様な文字を彫られるのか、その技術はどうかということも重要です。
 墓石は永く手を合わせるものです。一生に何度もあることではないので、十分に打ち合わせして、イメージ通りのお墓を作って下さい。

 

3.墓石に刻むデザイン・デザイン文字

 特に洋風墓の場合、自由にデザイン・イメージを彫ることができます。
 故人の趣味やお好きだったものをデザイン彫りしてあげる事は、自由な雰囲気の個人墓にはふさわしいものです。

 

墓相への対処の仕方

 お墓を建てるにはこうしなければいけない、と言われている事柄が墓相です。
 墓相は、家運や人生の吉凶に影響を与えるといわれていますが、最近ではほとんど取り上げられません。迷信に惑わされない様に。
 気になる方は信用のおける業者、菩提寺の住職様に相談することをおすすめします。

 

納骨する時期

 地域や宗教によっては、火葬した当日に納骨することもあります。仏式では、忌明けの四十九日や三十五日、一周忌や三回忌などの法要に合わせて納骨することが多いようです。
 神式では、火葬当日に納骨するのが本来ですが、近年では五十日祭などに合わせて納骨することが多くなっています。キリスト教式では、葬儀当日や月の命日、一年目の命日などに納骨することが多いようです。

 

開眼法要

 開眼法要とは、入魂式・入仏式・お霊入れ・性根入れ等、宗派や土地によってさまざまに呼ばれています。
 「開眼」とは、供養して仏の魂を迎え入れるという意味で、お墓は建てただけではただの石に過ぎず、この儀式を済ませて初めて礼拝の対象となります。

 

開眼法要の準備

 開眼法要を行う時期は、お墓を建てた後・お骨を納める納骨法要と合わせて一緒にするのが一般的です。
 特に決まりはありませんが、開眼法要には多くの人に参会してもらえるよう、年忌法要の時やお盆・お彼岸など、親類縁者が集まりやすい機会を選ぶのが良いでしょう。
 寿陵の場合はお骨がないわけですが、この場合はお墓の完成の時期に合わせて・開眼供養のみを行うと良いでしょう。

 

 法要の参列

 まず開眼法要に招くのは、故人の兄弟など身近な近親者か、よほど親しかった友人だけになります。
 ですから、法要の案内があったらできる限り出席するようにします。お供え物としてお花やお線香を持参するのもよいのですが、これらはすでに用意されていることでしょうから、それらの供物料として、あるいは墓石料の一部として、現金を包んでいって供えます。

 

お供え

 この場合、不幸があったということとは違いますので、水引きは紅白でも金銀でもよく、上書きは「供養料」や「納経料」とします。

 

儀式を行う手順

 当日は、予め周りを掃除して墓地を清潔にしておいて下さい。

●開眼法要に用意していただくお供え物
    ■海の幸…こんぶ、わかめ等  
    ■山の幸…高野豆腐、しいたけ、さつまいも等
    ■里の幸…野菜(大根・にんじん)、なすび、ピーマン等(色とりどりのもの)
    ■その他…赤飯、果実〈季節の物〉、菓子、紅白の重ね餅、一握りの米と塩、酒(ワンカツプでも良い)、水

●万灯供養…ローソクニ本(工夫して風で消えないようにします。)
●線香………各墓に一束・前後両隣のお墓へのご挨拶の為、余分目にお持ち下さい。
●花…………各墓一対

1 墓前に参列者が集まる。
2 住職に読経してもらう。
3 納骨の法要を行う。
4 皆で会食をする。
という順番が多いようです。

 

ご僧侶へのお礼

 ご僧侶へのお礼は「御布施」「御経料」「入魂式御礼」という題目で紅白ののし袋を使ってお包みします。あと、「お車代」・「御膳料」が必要です。

 

開眼式の服装

 開眼式はご先祖様のお家が出来上がったおめでたい日です。
 礼服にて参列される方が殆どです。ただ、法要やお墓の供養ということで黒の喪服と思われがちですが、喪服は喪に服するときの服装なので、この場合は厳密な喪服でなくてもよいわけです。

 

お墓参り


お墓参り・ご先祖への報告


 お墓参りはいつしてもかまいません。しかし、いつでもよいとなるとおろそかになりがちなので、お墓参りの時期が決まっている、ということもあります。普通には、春秋の彼岸、盆、毎年の祥月命日、年回忌を中心にお墓参りをします。一般的なお墓参りの日に限らず、さまざまな人生の節目に先祖のお墓に報告をするというのも、よいものです。

 まず初めに、墓地内をきれいに掃除します。墓石も、苔や汚れを洗い落とします。墓石に刻まれた文字などは、歯ブラシなどを使うと細部まできれいにできます。花立ての水を換えてお花を供え、お線香を供えます。
 燭台があれば・ろうそくを立て・火をともします。菓子や果物などのお供え物は、半紙を敷いて供えます。

 一人ずつ墓石の正面に向かい、自分の宗派の名号を静かに唱えながら、合掌礼拝します。冥福を祈る気持ちや感謝の気持ち、思っていることなどを心の内で語りかけます。
 短いお経を唱えることも・よいことです。ひざまずいて行うのが丁寧ですが、スペースなどによっては立札でもかまいません。宗派によって礼拝の方法が違います。

 

宗派別の供養の仕方(参考)

 お線香の上げ方や名号の唱え方、合掌の仕方などは、宗派によって違いがあります。一般的には、お墓参りでは束になったお線香をあげることが多いようです。下記は宗教関係の文献より抜粋しております。

●お線香を上げる
天台宗・真言宗…三本立てる
臨済宗・曹洞宗など…一本または二本立てる
浄土真宗…一本を折り横にする


●名号は仏や菩薩の名前です。名号を唱えることで功徳があるとされ・自分の宗派の御本尊の名号を唱えます。

天台宗…南無阿弥陀仏
真言宗…南無大師遍照金剛
臨済宗・曹洞宗など…南無釈迦牟尼佛
浄土宗・浄土真宗…南無阿弥陀佛
日蓮宗…南無妙法蓮華経(お題目)